なぜ「心の豊かな暮らしを創る」という企業理念にしたのか
私たちの会社は、「心の豊かな暮らしを創る」を企業理念としています。
「心の豊かな暮らし」というのはやや抽象的なビジョンですが、それを生むためのキーとなる要素として、以下の4つを具体的な事業領域としています。
- 地域資源をプロデュースし、身近な人たちに貢献し大切にすること
- サスティナブルでなおかつ楽しい、食の文化と循環を生むこと
- 伝統と文化を大切にし、自らそれらを生み出すこと
- 自立した人を増やす教育をつくりだすこと
この企業理念を策定した経緯
僕が株式会社行雲(当時は株式会社有鄰)の代表になった2016年8月、最初に着手したのがこの企業理念を明確に言語化することでした。
この「心の豊かな暮らしを創る」という企業理念には、僕がこれまで生きてきた人生での経験や考え方が込められています。
僕が育った日本という国は、これから人口やGDPが徐々に減っていくことがほぼ確定している国です。
それはイコール、総体としてはこれまでのようにお金やモノを得られる生活が徐々になくなっていくことを意味しています。
それはほぼ既定路線なのですが、ただお金やモノがないことが不幸せになることかと言えば、必ずしもそうではありません。
世界を見渡しても、日本よりもお金やモノがなくても幸せに生きることができている国はたくさんあります。
そこでお金やモノに頼らなくとも幸せな人生を歩めている状態を「心の豊かな暮らし」と表現し、そうした生き方ができる人を少しでも増やしたいと思っているのがこの会社です。
そしてその「心の豊かな暮らし」というのは何によって生み出されるのだろうと考え、事業の指針にした四つが、上に挙げたものです。
- 地域資源をプロデュースし、身近な人たちに貢献し大切にすること
- サスティナブルでなおかつ楽しい、食の文化と循環を生むこと
- 伝統と文化を大切にし、自らそれらを生み出すこと
- 自立した人を増やす教育をつくりだすこと
身近な人を大切にできるようになりたい。人も会社も。
この四つの事業領域のうち、一つ目の「地域資源をプロデュースし、身近な人たちに貢献し大切にすること」という点には、事業だけでなく僕の人生での考え方が特に入っています。
例えば僕が子育てをしたり、親や親戚の介護をしたりその看取りをしたりしてきた中で、「人は最終的にはごくごく小さな繋がりの中に収まっていって、そこが幸せな環境であるかどうかがその人の幸福度に直結する」ということをとても感じています。
それはもちろん幼年期や老年期だけでなく、例えば仮に仕事がうまくいっていても、家庭や恋人と諍いがあったりうまくいっていなかったりしたら、結局はその毎日って満ち足りたものではなくなってしまいませんか。
そうした考え方から、株式会社行雲としては会社として「身近な人たちを大切にする」ということを指針として掲げています。
その考え方は、社員の評価制度にも落とし込んでいますし、その結果それがうちの一つの社風のように育ってきている実感もあります。
「身近な人たちを大切にする」ということを会社の体外的な事業にあてはめると、それは「地元の人たちに貢献をする」ということだと考えています。
私たちは事業上の「身近な人たち」というのを「岡山県内」と区切り、飲食店ではなるべく岡山県内のものを使い、宿では近隣のおすすめの土地をご案内し、ショップでは岡山県内のもののみを取り扱っています。
そうして岡山県内のいろんな人たちに落とされるお金を増やすことが、事業面では最も分かりやすい身近な人への貢献だと考えています。
また、体外的な事業だけでなく、従業員に会社として与えることができるものをなるべく差し出す、ということも強く意識しています。
それらは例えばこれからの時代に必要な能力を伸ばせる環境や教育、余計なストレスが生まれない風通しのいい社風、完全に透明な経営数字の開示、などが挙げられます。
さらに言えば、うちの会社で働く人たちは、仕事だけでなくプライベートな部分で家庭や恋人・友人などをきちんと大事にできる人であってほしいとも思っています。
なぜならそれが従業員の人生の中での幸せにも直結することでもありますし、そうした人を増やすことをミッションとした会社であるからです。
プライベートな部分は会社として全て踏み込めない領域ではありますが、少しでもそれができる人が育っていける環境である会社にしたいとは思っています。